文化と芸能 阿波踊り

今、寶船が「徳島阿波おどり問題」を語る。不安を批評せず、希望を掴め。

2018/03/07

寶船の米澤渉です。

連日、徳島の阿波おどりについての報道が続いています。

徳島市阿波おどりの報道とは

徳島市の夏の風物詩「阿波おどり」(8月12~15日)に4億円余りの累積赤字が発生し、運営方法などをめぐって徳島市と、主催者の公益社団法人市観光協会、徳島新聞の対立が深刻化しているということについての報道。

阿波おどり 共に踊らず 累積赤字、徳島市と観光協対立
阿波踊り主催の市観光協会、徳島市が破産手続き申し立て
「阿波おどり」4億円超の累積赤字、徳島市と観光協会が対立…今年の開催は大丈夫?

色んな方から、「どう思いますか?」「大丈夫ですか?」と尋ねられ、その度に具体的なコメントを避けていました。SNSにも意図的に書いていませんでした。

しかし、実は数年前から、当事者にかなり近い方々からお話はお聞きしていました。それも、多方面からです。なので、報道に流されず、割とフラットな立場でこのニュースを見ていると思っています。

今回、週刊誌や新聞だけでなくTVの報道番組でも頻繁に取り上げられたことによって、より全国的にニュースが広がりました。

開催までもが危ぶまれていると大きな話題になり、今こそ思っていることを正直に書こうと決意しました。

今回の問題についての私たちの見解

阿波踊りを生業にしている私の見解は、明確です。

『不安を批評しない。希望は結束し掴みにいく。』

これが結論です。阿波踊りというコンテンツは、世界に誇るものだと思っています。それは全く揺るぎません。

世界に誇るコンテンツだと信じている想いは、自身で営業し、世界ツアーを成功させてきた私たちだから余計に強いと思います。阿波踊りは、私たち民衆が感情を込め、非日常という魔法をかけてきた歴史です。

運営の問題点があるとしても、そのスピリットは揺るがないと自信を持って言えます。

ですので、今回のニュースを見て踊り手である私は、誰が黒幕かという「犯人探し」は本質じゃない気がしています。もちろん税金が使われるかもしれない市民の方々は違う考えだと思いますが。

今回の件は、阿波おどりを「自分たちの祭り」として想いを込めてきた愛の強さが起こしている気がするのです。

守る側も、創造的破壊を選択する側も、文化に愛を持っている。それは、全ての伝統や地方創生で共通すると思います。そして、その立場の解釈やビジョンの食い違いが摩擦を起こしているのです。特に、徳島の方や阿波踊り業界の方からお話を聞くと、想いの強さからくる咀嚼の違いはよくあることです。

 

愛の強さが起こしている”もつれ”をどうほどくか

がんじがらめになった『愛のもつれ』を、よりクリアにするならば多面的な報道や調査が必要かもしれません。

しかし、『愛のもつれ』をほどくには、『未来の繁栄』しかないと思っています。愛を注いだ文化が、後世に鮮やかに残っていくこと。それが、真の意味での解決だと思っています。

もちろん時代によって仕組みやプラットフォームは変わります。今回の問題も、単純に愛がこじれただけでなく、マネタイズの問題も確かにあります。

しかし120万人が訪れ、経済効果100億円と言われる祭りで4億数千万円の赤字。夢を語れて経営ができるリーダーがいれば、正直すぐ黒字化できるはずです。

つまり、私たち踊り手ができることは、本質は愛のもつれであることを理解した上で、未来をつくる側に回ること。これです。

観光協会の方、徳島新聞の方、徳島市の方、どの人から最初に情報を聞いたかで、見解すらも揺さぶられる繊細なニュースなんです

だから『不安を批評しない。』そう思っています。

今こそ、未来に集中する時だと思う

そして、誰もが納得できるような未来はあり得ません。それでも信じた未来を開拓していくことが繁栄につながります

寶船を「新しい阿波踊りモデルの成功例」と捉えてくださる方もいれば「あれは阿波踊りじゃない」と思う方もいます。批判を含めてブランディングしてきたので、後者もきっと多いです。

それでも、阿波踊りの商店街モデルの衰退や協会の仕組みを俯瞰したとき、寶船は自己マネージメントで市場を拡げることを選択しました。周りの連とは毛色を変え、希少性を上げ、市場の中で価値を上げることを選びました。

正しかったかどうかは未来が決めます。寶船も、阿波踊りを愛するひとりです。

ですからこんな時こそ、踊り手や阿波踊りを愛する立場の方々は、報道に一喜一憂せず、阿波踊りの価値を未来にどう伝えるかに集中することが大事だと思っています。

時代の転換期と受け止め、新たな行動をしていきましょう。私たちも、徳島の力になれることは積極的にしていきたい。そう感じてます。

まとめ

繰り返しますが、

『不安を批評しない。希望は結束して掴みにいく。』

これが、今私たちが思っている結論です。

踊る阿呆の皆さん、徳島に住む皆さん、そしてこの呟きを読んでくださった皆さん、ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!

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米澤 渉
1985年、東京都生まれ。一般社団法人アプチーズ・エンタープライズ プロデューサー。寶船プロメンバー「BONVO」リーダー。山形県米沢市おしょうしな観光大使。日本PRのCM『日本の若さが世界を変える』に出演。「my Japan Award 2014」 にて《箭内道彦賞》を受賞。

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