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文化はなぜ衰退するのか!? 伝統を受け継ぐために知っておきたい3つの理由

2015/09/22

最近、「日本の伝統文化の発展と衰退」について調べています。私も阿波踊りという日本芸能に携わっている以上、伝統についての探求は必須であると考えているのです。特に、「衰退」については重要な研究課題です。一世を風靡した文化がなぜ縮小していくのか、このポイントを学ぶことにより、阿波踊りという文化を後世に残すヒントになるのではと思うのです。

文化の衰退における3つの理由

工芸品、芸能、武道、食。ありとあらゆるものを調べました。衰退の具体的な理由は様々ですが、次第にある共通点が見えて来たのです。

どんな文化も大きく分けると下記の3つに当てはまります

1. 需要の減少

日々ライフスタイルは変化しています。例えば、インターネットがなかった時代と現在では求められるものが全く異なります。そんなライフスタイルの変化によって、需要が減少した文化が多く衰退しています。どんなにその文化が素晴らしくとも、必要がなければ縮小に向かいます。携帯電話があれば、わざわざ狼煙を上げることはありません。

つまり、世界の変化に合わせ対応し、常に需要を生み出せる文化だけが存続していると言えます。

2. 担い手の不足

文化の中心的存在が高齢化し、担い手が不足することで衰退することも多いです。特に、高い技術が必要とされる工芸や芸能などで多くみられます。高齢になっていくのは、文化の発信側だけでなく、ユーザー側(顧客など)も同時に高齢になっていくことも課題です。

つまり、文化の衰退を食い止めるには若者の育成は必須。またそれ以前に、その市場自体に若者が魅力を感じているかが重要なポイントになってきます。

3. お金を生み出せない

そして、最も重要なのがこれです。調べて一番多く見られたのは、この「お金を生み出せない」ということでした。伝統文化には必ず何かしらのメリットがあり、普及してきた歴史があります。そこには、感動や魅力という精神面以外にも、商業的な成り立ちも深く関係しています。どんなに価値のある素晴らしい文化も、価値にリターンがなければ存続していけないのです。「ボランティアベースで」と考えることは素晴らしいですが、10年20年は続いても、100年200年というスパンで未来を考えると厳しい。

つまり、文化は「生み出すこと/表現すること」と同時に「それを提供し対価を得ること」という努力が、必ず必要なのです。

まとめ

以上、文化の衰退における3つの理由でした。いかがでしょうか。
この業界にいると、よく「伝統を守る」という言葉をお聞きします。そのことを考える際、上記の3つが参考になればと思います。

歌舞伎、和太鼓、津軽三味線、落語…。考えてみると、上記の3つをしっかりとクリアしています。時代の変化とともに表現やアプローチを模索し、新たな需要を取り込む。若者に支持される努力を惜しまず、育成に力を注ぐ。その文化で、健全に収益を上げ市場を広げる。素晴らしい活動だと思います。

徳島阿波踊りでは、桟敷席が中々売れないそうです。文化自体でお金を回す仕組みがありません。そのため、寶船以外にプロとして生活を支えている連はないのです。一方で、音楽、演劇、映画、ダンスなどのエンターテインメントは、業界自体が凄まじい努力で頭が下がります。

阿波踊りは、数10年ならば衰退は気づかないでしょう。しかし数100年の未来を見据えて今行動するべきだと寶船は考えます。

番外編!不遇な縮小は?

最後にもう一つ。歴史的な弾圧や規制、戦争や災害などで文化が縮小する例も、調べると多くありました。

しかし面白いのは、この規制や戦争など、つまり不遇な場合の衰退は、数年後に復活する例が多かったのです。人々が高い意識でいるときは、人為的であれ天災であれ、力で潰されても這い上がる力を持っています。現存する伝統文化は正にそうです。
人のエネルギーって、素晴らしいですよね!

これからも頑張ります。

 

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米澤 渉
1985年、東京都生まれ。一般社団法人アプチーズ・エンタープライズ プロデューサー。寶船プロメンバー「BONVO」リーダー。山形県米沢市おしょうしな観光大使。日本PRのCM『日本の若さが世界を変える』に出演。「my Japan Award 2014」 にて《箭内道彦賞》を受賞。

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