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阿波踊り躍進の鍵はEDMフェスにある? “リズム革命”は“イズム革命”

2015/11/18

今世界ではEDM(Electronic Dance Music)のフェスティバルが若者たちの間で注目されています。そんな中、僕たち寶船がやっている阿波踊りを、どうやって世界の若者たちに注目されるエンターテインメントに進化させていくのか。

この記事ではその方法を“リズム”という観点から探っていきたいと思います。

世界の若者を魅了するEDMフェス

現在世界最大規模の動員数を誇り、年々若者からの注目度が高まっているEDMフェス。ここ数年、テレビやラジオでも多く取り上げられるようになりました。そんな世界のトレンドとなっているEDMフェスの中でも、特に規模が大きい3大EDMフェスと呼ばれているフェスティバルを皆さんはご存知でしょうか。

アメリカ・マイアミのULTRA MUSIC FESTIVAL(UMF)

毎年3月のウィンター・ミュージック・カンファレンスに合わせてアメリカのマイアミで3日間開催されています。

ベルギーのTomorrowland

ベルギーで毎年1回7月の終わりに開催されています。ベルギー第2の都市アントウェルペンから16キロ南にあるBoom(ブーム)という都市の広大な公園で行われており、2005年から現在もなお続いています。

アメリカ・ラスベガスのElectric Daisy Carnival(EDC)

1997年にロサンゼルスにてスタートした、EDMの祭典です。ラスベガス、ニューヨーク、オーランド、プエルトリコ、メキシコと、北中米を中心に開催されています。

こういった動画を見ていると、いかにEDMフェスが世界から注目され、話題をよんでいる“アツい”フェスティバルなのかがわかりますね。

阿波踊りが世界中で注目されるには?

さて、そんなEDMフェスのようなカルチャーが世界を席巻している中、阿波踊りのような伝統的な文化を世界のトレンドに進化させていくためには、一体どうすればよいのでしょうか。僕は以下のような方法論が考えられると思っています。

阿波踊りのブランド力の向上

残念ながら阿波踊りは、「古臭い」とか「おじいちゃんたちがやってる踊り」というイメージを多くの若者に抱かれています。これからの世代に阿波踊りを受け継いでいってもらう為には、やはり多くの若者に「阿波踊りってかっこいいんだ」と思わせることが重要です。そのためには阿波踊りのブランド力の向上が必要不可欠となるでしょう。

海外での阿波踊りの市場の獲得

いくら阿波踊りの内容がかっこよく、イケてるものになったとしても、それだけでは世界で阿波踊りを認知させる要素がそろったとは言えません。問題は世界のエンターテインメントのシーンにおいて、いかに阿波踊りの“見せる場”を開拓していくのかということも重要なのです。

世界での阿波踊りの市場はまだまだ未開拓です。阿波踊りの発展のために様々な方法論が考えられる中で、上の二つの課題が一気に解消でき、なおかつ阿波踊りの本質的な発展に繋がる方法があります。そう、それこそまさしく阿波踊りのEDMフェスの参入なのです。

EDMフェスにおける“リズム革命”が阿波踊り躍進の鍵?

最も手っ取り早く阿波踊りを世界に知らしめる為には、恐らく世界のEDMのシーンにおける“リズム革命”が起こればいいのではないかと僕は考えます。EDMにおける基本リズムに大きな革新が起こり、今まで阿波踊りで多くの人に親しまれてきたリズムがEDMフェスで使われたとしたら、阿波踊りは大きな躍進のチャンスとなることは間違いありません。

イーブンビートからシャッフルビートへ

EDMを観察していると、ふと気づくことがあります。リズムがワンパターンだということです。いろんなEDMフェスの映像を見ていると、すべてのものが4つ打ちのイーブンビートのリズムであることに気がつきます。恐らく常に一定のリズムで体を動かしていると、トランス状態になるという意図からこういったリズムパターンが定着していったんだと思います。しかし、小さい頃から阿波踊りに携わってきた僕にとって、この4つ打ちのイーブンビートというのは、どうも日本人気質にはあまりそぐわないのではないかという気もします。そしてリズムのパターンが乏しいと、僕は長時間聴いていると飽きてきてしまいます。

そこで、EDMのシーンに阿波踊りのリズムであるシャッフルビート(※下記参照)が導入されていくと、僕たちの阿波踊りの市場は日本だけではなく、一気に世界に広がるのではないかと思うんです。

シャッフルビートとは?

根本的なシャッフルのリズムは、真ん中の音符を取り除き休符にした3連符からつくられる。このリズムはブルースやロック、カントリーを含む多くのジャンルの音楽において用いられる。
(wikipediaより)

かつてのダンスミュージックの主流はシャッフルビートだった

このことは歴史的にも裏付けがされています。例えば1920〜30年代にアメリカで流行したスィングジャズは阿波踊りと同じシャッフルビートが基本でした。今ではあまりイメージがありませんが、当時としてはジャズという音楽はダンスミュージックの代表だったのです。

スイングジャズで踊り狂う1930年代のアメリカの若者たち

またそれに関連してブルースやソウルミュージックのような黒人音楽や、白人のカントリーミュージックなんかも多くシャッフルビートが基本のリズムとして親しまれてきました。ということは、本来人間の“踊りたい”という気持ちが高揚するのは、現在のEDMのようなイーブンビートではなく、シャッフルビートなのではないかという考え方もできます。
もし仮に、現在世界を席巻しているEDMのシーンにシャッフルビートが主流の音楽カルチャーが登場したとしたら、恐らく阿波踊りは世界で最も注目されるダンスのひとつなる可能性があります。

EDMフェスの原点は阿波踊り?

阿波踊りの本質的な姿勢というのは、阿波踊りでよく歌われている掛け声の中で全て語られています。すなわち「踊る阿呆に、見る阿呆。同じ阿呆なら踊らにゃ損損」です。
これってよく考えるとEDMフェスのことですよね?現在EDMフェスは世界で「新しい新しい」ともてはやされているムーブメントですが、よく考えてみると日本人は400年前から同じようなことをやってきたわけです。それにもっと言うと、現在のEDMフェスの形態、すなわちDJを中心に周りの大勢の人たちがそれぞれ踊りだす、というフォーマットは、これは完全に盆踊りの形態そのまんまじゃないですか?

実際毎年夏に行われている寶船の阿波踊りのお祭りでは、まるでEDMフェスのような盛り上がりを見せ、参加したお客さんからも「クラブで踊っているみたい」といった声を多く聞きます。

IMG_7191

夏に行われる阿波踊り祭りの様子。EDMフェスの盛り上がりに似ている。

 

また、2010年代からの世界の様々な音楽シーンを調べていても、阿波踊りがいかに今追い風にあるかがわかります。今までは伝統的な文化と最先端のカルチャーは、それぞれ別々の発展をしていて、そのふたつが相交ることは決してなかったのですが、大体2013年頃から少し風向きが変わってきたように思います。ここへ来てトラディショナルな文化と、現代的な方法論のカルチャーが手を組み出した時代になってきたような気がするんです。つまり、EDMフェスの阿波踊りの参入は今の時代に求められている、必然的な流れなのかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?今までのどのカルチャーを見ていても、世界を変えるほどの影響力を示すには、やはり若者の関心が必要不可欠です。その為には今の若者の関心の的であるEDMフェスのカルチャーシーンに、“リズム”という観点で僕たちの阿波踊りが参入することが、正しい“阿波踊りイズム”の継承に繋がるのではないでしょうか。

 

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米澤 陸
1991年、東京都生まれ。寶船のプロメンバー「BONVO」に所属し、年間200ステージを越える公演に出演。奇抜なメイクと、パントマイムやダンスを取り入れたオリジナリティ溢れるパフォーマンスには定評がある。

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