■第一回 いかに自分を消すか。

その異常なまでの熱気と、枠にとどまらない芸風で圧倒的な存在感を放つ、寶船。昨年10月、今まで誰も考えなかったライブハウスでの阿波踊り公演が行われた。チケットはあっという間にソウルドアウトになり、会場は窒息しそうなほどに熱気に沸いた。そんな彼らにとって2度目となるライブハウス公演が3月に決定。今回は、その次回のライブハウス公演で舞台演出を務める米澤萌さんに、寶船への思いと意気込みについて語ってもらった。

「自分はこんな人だと思われているから、
ずっとこのままでいなきゃいけない」
なんてことはない。

――ステージに立つときは、どんなお気持ちなんですか。

もうね、今でも尋常じゃなく緊張しますよ。前日から緊張しはじめますから(笑)。それが、本番前に髪を上げたりメイクをしたりして、少しづつ自分じゃなくなっていくことによって緊張が消えていくんです。ステージや舞台に立つということは、いかに普段の自分を消して、“米澤萌”という踊り手を演じるかですからね。

――「自分を消す」というのは面白いですね。

私は昔から人前に立ったりするのが苦手で、他にも苦手なことって色々あるなあと思うんです。誰でもそうですよね。だから連員の皆には、自分を偽るという意味ではなく、自分をよく見せる、希望通りに自分を周りに見せる手段を覚えて欲しいなと思ってます。社会人やフリーターや学生など様々なメンバーがいた時に、その人その人のバラバラな日常をお客さんは見たいわけではないんです。そういう意味で、普段の日常の自分を消して、魅力的な自分を引き出し、様々なスターを演じることが大切なんです。

――魅力的な自分は、どのように探せばいいでしょうか。

人は感じてるままに生きられる人ばかりでなく、感情の起伏が少ないとか、感じてるんだけど人に伝えるのが得意じゃない人も多いですよね。そういうのって、感じないのがよくないわけでも、人と同じことを感じなきゃいけないわけでもないと思います。そして、同じ気持ちでも、同じような感情の表現をしなきゃいけないわけでもないんです。そういう、“それぞれの感情をどう見せたら素敵か”っていう考え方が常に着地点と思うことが大事ですね。

――なるほど。それぞれ色んな魅力があるべきということですね。

そうですね。例えば、引っ込み思案な人が、そんな自分が好きならそれを個性にすればいいし、引っ込み思案じゃなく見られたいと思っていながら引っ込み思案にしか見られていない場合は、どうやったら本当になりたい自分を見せられるかを考えるべきなんです。『今まで自分はこんな人だと思われているから、ずっとこのままでいなきゃいけない』なんてことはないし、逆に魅力を出す為に、絶対に克服しなきゃいけないわけでもないです。そういう方法を、阿波踊りを通してわかってもらいたいんですよ。

(次回につづきます)

米澤 萌 (よねざわ・めぐみ)

1983年東京都出身。『創作舞踊集団 寶船』の連長の娘として初年度から連に携わる。踊り手としてトップに立ち、技術指導などを担当。次回3月22日の春公演では、舞台演出を務める。