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大船渡ツアーを終えて感じたこと。宮城県出身の私が阿波踊りを踊る理由

2018/10/31

寶船のプロメンバー、BONVOの夏生子です。

‪10月26日(金)〜29日(月)の三泊四日で、岩手県は大船渡市で公演を行ってきました。‬

‪初日の27日土曜日は、盛駅にあるショッピングセンターの「サン・リア大船渡」。2014年の『東北三大祭り』開催に合わせて、寶船が呼んでいただいた時の会場です。

この場所は、翌日に開催されたよさこいフェスティバル『Kesenよさ恋フェスタ』の主催者・村上さんと出会った場所でもあります。‬

差し入れもたくさんいただき、光栄でした……(涙)

 

翌日28日は、『Kesenよさ恋フェスタ2018』!

このイベントは2015年から毎年出演させて頂いていて、今年で四度目となる出演でした。‬

公演は大成功!

例年以上にたくさんの方に声をかけていただき、最高な時間となりました。

共演したよさこいの皆さんも素晴らしかったです!

打ち上げも、本当に楽しかったです!

この『Kesenよさ恋フェスタ』は、私自身が出演するのは二回目なのですが、寶船にとってはもちろん、個人的にも他の公演とは違う意味をもった重要なイベントです。

以前‪サン・リアで行われた東北三大祭りも、Kesenよさ恋フェスタも、東日本大震災の復興支援の意味合いをもっています。

‪私にとって、東日本大震災を思い起こさせるイベントで寶船として踊るということは、自分でもなぜか分からないくらい緊張と不安が入り混じるものでした。‬

‪震災後、仙台出身の私に残った『二つの目標』

‪私は仙台市出身です。‬こういう表現が正しいか分かりませんが、地元は沿岸部に比べたら本当に被害が少なくて済んだ地域でした。

それでも近しい人が傷つくのを目の当たりにして、直接的に知らない人にさえそうした余波を感じ取ってしまい、胸がつかえることが何度もあります。

震災当時、大学入学を機に上京して一年がやっと終わる頃、まだまだ生活も人間関係も慣れないことばかりで、当時の私は震災で受けた悲しみや辛さを真正面から受け止めることができませんでした

‪あまりにも自分が無力な子どもだったために、親からは「帰省しても心配するだけだから帰ってくるな」と言われ、Twitterやメディアで疲弊する現地の情報に触れる度、何かしたい気持ちとそれすら相手にストレスを与えかねない状況に葛藤する‬毎日。

‪「無事に過ごして心配をかけないこと」、「一人前の大人として自活できるようになり、それから人の役に立てるようになること」。その二つが真っ先に実現しなければいけない目標になり、大学での残りの三年間、そして社会人としての三年間は、この二つの目標に向かってがむしゃらに駆け抜けた日々だったように思います。‬

‪東北・大船渡で踊ることの意味

‪寶船は私にとって、心の傷を剥き出しにする勇気を与えてくれた場所です。はだかになっても壊れない心を温めてくれた場所です。

だけど正直、まだまだ奥底に触れられない気持ちが眠っているのも事実です。だからこそ、大船渡で寶船として、それもプロとして踊るということは、正直どの本番よりも緊張する出来事でした。‬

‪大船渡に向かう車の中でも、ステージのクライマックスでも、メンバーが涙した控え室でも、打ち上げでのスタッフさんとの些細な会話でも、海岸沿いの景色を眺めた帰り道でも、気をぬくと溢れてくる涙を抑えるのに必死でした。‬

‪全力で踊るということは、全力で生きるということ

‪踊っている私が言葉で伝えるのは野暮ですが、本番を通して伝えたかったこと。

それは、【全力で踊ってほしい】ということです。

全力で踊るのは自分のためでいいということです。全力で踊るということは、全力で生きるということだと思います。‬

‪震災があった年、”被災地のために”という気持ちでチャリティパフォーマンスを企画したことがあります。同期や先輩が援助してくれたにも関わらず、色んな部分で力不足で正直不甲斐ないものになってしまったけれど、その時力を貸してくれた人たちは今でもとても大切な友人です。‬

‪そんな企画に対して、母親の「それ自体、自分自身の傷を癒すためにやっていることだよ」という指摘、「誰と比べて、ではなく、あなたも悲しかったし辛かった、ということを認めていいんだよ」という核心をついた言葉に、震災後初めて涙が止まらなくなったのを覚えています。‬

‪寶船の米澤渉が公開したYouTube動画『毎年、寶船が東北に行く理由とは!?』でも話していましたが、震災の直後、現地では盆踊りや秋祭りが至る所で開催されていたそうです。‬

「笑顔で踊る人たちを見て、人間の強さを感じた」とコメントしていますが、「どれだけ辛いことがあっても、折れそうになる心を奮い立たせて前を向かざるを得ない、生きていかざるをえない」という鬼気迫る笑顔に人間の強さを垣間見たんだろうなあと思います。‬

‪歴史やスタイルは違っても、生きる解放感やカタルシスはどんな踊りでもきっと得られるような気がしているし、だからこそ踊りがやめられないんだろうなあと思います。

そんなエネルギーのぶつけ合いがとっても荒々しくて魅力的だし、私は私として来年も誰にも負けないくらい生きていたいです。

最後に

‪昨年も参加させて頂きながら、この気持ちを整理して言葉にするまでに一年もかかってしまいました。‬

‪来年みなさんにお会いするときにもまだ自分の中に拭えないなにかがあるかもしれないし、人の傷に踏み込むような勇気も持ち合わせていないかもしれません。‬

‪だけど、何度も顔を合わせて一緒に踊って一緒に生きていく中で、少しずつ殻を破って一緒に前を向いていけたらと思います。‬

精一杯踊り、生き抜いて、また帰ってきます。‬

 

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加藤 夏生子
1990年、宮城県生まれ。2017年5月から寶船のプロメンバー「BONVO」に所属し、年間200ステージを越える公演に出演。小学生の頃からダンスに親しみ、寶船との出会いを通じて阿波踊りに目覚める。

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