先日の記事で、「やりたいことをやるより、やり抜きたいことをやることが大切」と書きました。
*先日の記事はこちら
若者よ、今こそ本気について考えよう。「本気さ」を構成する5つの要素
しかし、今までの経験からこんな声が聞こえてきそうだなぁと思いました。
「成功している人にも、たくさん転職している人がいるじゃん」
「経営者で、途中で業態を変えてる人もいるじゃん」
「色々やってみないとわからないし」
という、声です。
これと、「やり抜くこと」は全く違うこと。おそらく、実際に経営をされていたり、結果を出そうと必死になっている方には違いがご理解いただけるはず。ただ、学生や社会に出たばかりの若者には、同じと認識されていることが多いです。
なので今回は、「やり抜く人」と「心移りする人の違い」を考えてみました。
心移りを安易に正当化するべきではない
決断した出来事を新たな方向に乗り換える時、人はうまく理由を見つけます。
「新しいやりたいことが見つかった」「周りの人達を安心させたい」「まずは生活を安定させたい」「やってみたら、やりたいことと違った」ーー。
どれももっともだし、嘘ではないでしょう。しかし、気持ちが持続できなかった自分に対しては驚くほど甘く、その時ばかりは「明日に向かって自分らしく前向きに生きよう」というポジティブな変換を行い、咀嚼(そしゃく)します。
しかし、冷静に考えると「とはいえ、この道を決めたのはあなた自身じゃないっけ?」と、やはり思ってしまうことがよくあります。
「モチベーションが下がってしまった」「周りに不満がある」「他にもっといいことが見つかってしまった」ーー。そんな時に、前向きな言葉とともに「より良い人生のために軌道修正をしているのだ」と自分を納得させるのです。
これは視野が狭く、社会とのつながりを実感していないとき、主観(自分が辛い・大変など)の気分で判断をしているときに起こりうると思います。
その結果、容易に関わりを絶っていく印象を周囲に与えてしまいます。
責任を感じる想像力が乏しい場合や、実現したい未来があまりない場合に陥る思考なのではと感じました。
では、成功している経営者と何が違うのか?
色々な事業を成功されている方とお話させていただくと、気が付くことがあります。やっていることへの想いの深さです。やりたいことを人に語り、巻き込みながら結果を出すには、信念と情熱が必須です。
人を巻き込むということは、関わる人が増えるわけで、その感謝と責任も生まれます。
また、その商品や作品を受け取る消費者側にも気を配る必要があります。しっかりと魅力が伝わっているか、訴求しているかに敏感にならざるを得ないのです。
もし思うような成果が出なければ、早急に改善する必要があります。何を残して何を捨てていくかが手腕。それが業態を変化させたり、職を変えるきっかけになるのです。
つまり大きく言えば、人生も全て「PDCAを回すこと」という感覚に近い気がします。人生としても、社会的にも、常により良い世界を目指すという気迫を感じるのです。
『PDCA』とは
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する手法のこと。
職種はアウトプットの形に過ぎません。自分の未熟さを正面から受け入れ、誠意を持ってさわやかに新たなスタートを切るならば、それは人生において「まだやり抜いている過程」となります。
上記の要点をまとめると、以下のようになります。
1. 心移りする人
- 主観的な気分による判断
- 実現したい未来が意外とない
- 社会とのつながりを意識していない
- 関わる人への感謝や恩が薄い
2. やり抜く人
- 客観的成果に向き合っている
- 実現したい未来への情熱がある
- 関わる人への意識と配慮が高い
- 責任感の上にあるPDCA
このように、両者には明確な違いがあると思っています。同じように「やめると判断する」という構造があっても、考え方のプロセスは真逆に思えるのです。
正当に挫折をする大切さ
人は、頑張れば必ず結果が出るかというとそうではありません。芽が出なかったり、大失敗を繰り返し、やっと成果が出てきます。
そんな意味では、上記に書いた「やり抜く人」というカテゴリーの人は、間違いなく失敗をしているはずです。失敗しながら新たな仮説を立て、改善を繰り返すことが思考のベースにあるからです。
貫けなかった現実や達成できなかった結果を、正面から挫折として受け入れ、飲み込んでいる人はほんのわずか。人は基本的に失敗を回避しようとする生き物で、自分に刃(やいば)を向けることは中々できません。
キャリアを汚さないために、真っ正面から挫折を受け止めないのです。また、そもそも「長期間やっても成果が上がらなかったら無駄になる」と考えている気もします。
なので言い換えると、
心移りする人 → 挫折を回避する人
やり抜く人 → 挫折を正面から受け止められる人
こう表現できる気もします。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
この「挫折のできない若者たち」から一刻も早く脱出することは、大人になる上でとても大切なのではと感じます。
あくまでも未熟な自分が、経験を通じて学び、感じたことです。もし違う視点をお持ちの方がいたら、ぜひご意見をお聞かせください。
最後に。今回、やり抜くことの強さを書きましたが、今ブラック企業問題で議論されている「疲弊して働け」とは違います。誤解のないように付け加えさせてください。
上記に書いたように、やり抜くときには「実現したい未来への情熱がある」という条件が必須です。そこを自身でつかむ方が増えてほしいとは思っていますが、疲弊することとは違います。そもそも、「24時間没頭したくて仕方がない」というフェーズにいかに早く到達するかがキーになると思うのです。
挑戦し、泥臭く戦う皆さんを応援しています。
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米澤 渉

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