どうもこんばんは。金髪の異端児、たかしです。
今回は寶船の『月光』という演目を紹介します。
『月光』は、寶船のプロメンバー・米澤萌がソロで踊る演目で、寶船には珍しい静かで神秘的な踊りが魅力です。
今回は2016年に座・高円寺という劇場で披露された『月光』をノーカットでお届けします。
普段YouTubeではなかなか登場しない演目なので、初めて観る方も多いと思います。いつもの寶船の賑やかな雰囲気とはまるで違う、息を飲むような『月光』の世界観に酔いしれてください。
今日の主人公は、何と言っても『月光』で踊っている米澤萌ですね。寶船の運営会社「アプチーズ・エンタープライズ」の代表であり、寶船を引っ張る米澤三兄弟の長女です。
萌姉のダンサーとしての価値は、「本格派」としての凄みだと思います!幼少期から始めた阿波踊りダンサーとしての芸歴は、約30年。昨日今日で覚えた芸とは、深みが違います。
寶船って阿波踊り業界の“異端児”として名前が通っているだけに、一般的には「正統派の阿波踊りは踊れない」というイメージがある人も多いと思います。特に「金髪の異端児」とか自分で言っちゃってる僕なんかは、特にそう思われているんじゃないでしょうか?笑
そんな寶船のイメージを見事に払拭しているのが、萌姉のポジションだと思います。萌姉がいることによって、寶船の“阿波踊り集団”としての説得力が確かなものになっています。
萌姉は、意外にもボブ・フォッシーや、フレッド・アステアなど、世界のエンターテイナーから影響を強く受けています。その上で彼らの踊りをただ真似するのではなく、影響を受けたものを血肉にして、阿波踊りとしてどう表現するかを模索し続ける萌姉の芸の道。言葉で説明するのは野暮ですが、そこには計り知れない葛藤と追求があるはずです。
また、萌姉はダンサーとしてだけでなく、会社の代表としての顔も持っています。オフィスでは会社経営のトップとして、寶船の今後の方向性や、お金の使い道について常に頭をフル回転させています。
寶船という団体は、会社としてはそんなに大きな規模ではないので、一つ一つのプロジェクトが成功するかどうかが、毎回ギャンブルだったりします。
自分たちの主催イベント。海外ツアー。メンバーの育成。様々な企画が同時に動く中で、ちょっとの判断ミスが命取りとなる寶船の会社経営。寶船という小さな船が大海原の荒波と対峙した時、転覆するのか進み続けるのかは、オールを握っている萌姉の動きがとても重要になってきます。
寶船のプロメンバーは、みんなダンサーでありながら運営も担っているところが面白いですね。芸能と運営は切っても切り離せない関係にあります。オフィスで寶船のビジョンや方向性を見定め、それに沿った演目を生み出していく。その工程を踏んでいるからこそ、団体の軸がぶれずに、エネルギーをステージへと流し込めるんだと思います。
そのことを踏まえて改めて『月光』を見直すと、また違った見え方が出来てくるかもしれません。
(たかし)
※このイベントはコロナ禍以前に行われました。