阿波踊りのスタイルが変わっても、忘れてはいけない精神があります。その一つが、阿波踊りの大事なキーワード「無礼講」。
起源説の一つに、『徳島城築城で民衆に「無礼講」が許された』という有名なエピソードがあります(詳しい起源説はまた後日)。この精神、すごく大切だと思うんです。
「無礼講」と言っても、別にどんなに無礼でもいいということではありません。この最大のポイントは、【地位や性別に隔てなく喜びを共有できる】ということでしょう。

江戸時代初期の絵画、太平記絵巻の第一巻、『 後醍醐天皇御治世事付武家繁昌事 』
阿波踊りって、老若男女が一緒に楽しめます。社長も主婦も学生もフリーターも、上手い人も初心者も、みんなを受け入れる祭りだから素晴らしいんです。人を肯定する祭りだと思うのです。
今回、パリから繋連の皆さんが来てくださり感じたのは、国籍すら関係なく喜びは共有できるということ。お囃子が鳴れば、みんなリズムを刻んで笑顔になれる。この素敵な文化が、400年以上も前から続いているのです。凄すぎます。
寶船は、連長が徳島出身とはいえ、東京のグループです。徳島の方々から見れば、《よそ者》なんです。そんな私たちを笑顔で受け入れてくださる徳島。本当に感謝してます。
私たちが阿波踊りを好きになったのは、この「阿波踊りは人の心を一つにできる」という精神なんです。
寶船の理念は、「世代や文化を越え、時代を越える感動の革命」。これこそが阿波踊りだと私たちは思います。
戦時中、徳島の人たちはドイツ人の捕虜を健全な「人間」として接しました。それに感激したドイツ人が、1918年「歓喜の歌」を恩返しとして歌ったという歴史もあります。有名な《バルトの楽園》のエピソードですね。
こんな素晴らしい徳島。どんな人にもウェルカム。この人々の温かさが阿波踊りを伝え続けたのです。
今、利権関係や人間関係のしがらみで世の中が霞んで見えてくる時代。県と市。協会と協会。東京と徳島。日本とパリ。様々な人の考えが複雑に絡み合っています。でも人が胸を打たれるポイントは、バルトの楽園から一切変わりません。
私は、徳島の皆さんの「ようきたなぁ。楽しんでってや。ほなけん、お茶でものんでき」と優しく迎えてくれる温かさが大好きです。
地位や性別、国籍や利権も越えた、「無礼講」の祭り、阿波踊り。今忘れかけているこの精神をもう一度大切にすれば、様々な世界の問題は解決できるのではないか。そう思いました。
徳島阿波踊り、二日目。今日も町中に喜びと笑顔が溢れます!!
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米澤 渉

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