寶船といえば、なんと言ってもその振り切れたエネルギーと意表を突く変幻自在のパフォーマンス。ストリートでの寶船は夏の夜の興奮を絶頂に高めてくれるし、ワンマンライブでの寶船は我々を喜怒哀楽のジェットコースターに放り込んで体の芯まで揺さぶってくれる。

私もそんな寶船にやられた。

それどころか、私は心が揺さぶられるあまりに「見る阿呆」から「踊る阿呆」への敷居をまたいでしまった。自分の年も考えずに。ただ、人生の大きな一角を寶船と生きたかったから。

中に入ってみて、寶船の「個性力」の強さに圧倒された。聴衆の期待を良い意味で次々と裏切ってくれるあのダイナミックなパフォーマンスは、様々に強烈な才能の繊細な組合せが織りなす魔法なのだ。

すごいのは、寶船のこのとてつもない「個性力」は、「個性的な人材」を集めて作られているわけではないことだ。逆に、連員一人ひとり、どんな人からもその人らしさを強みとしていっぱいに引き出し、他の人の強みと絡めながら相乗効果を生み出す。人を人材として役割に当てはめるのではなく、人を丸ごと受け入れて活かすことから始める。ものづくりを通してお互いに生かされ、生かし合おうとする寶船が育てる人間は実に魅力的だ。

私はそんな寶船の人間たちに惚れてしまったんだと思う。


東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
准教授 中山 俊秀 (なかやま・としひで)