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文化の発展のために、今見つめ直そう。阿波踊り業界のビジネスモデル

2016/08/03

阿波踊りは本来『商店街モデル』である

どうすれば阿波踊りは、さらに発展し未来に存続できるのだろうかと考える方も多いはずです。

私たちは阿波踊りという文化を全世界に広げようと思ったとき、まず、どのような仕組みで発展は支えられてきたかを考えました。

本場徳島や関東最大の高円寺は、来場者数も華やかさも凄まじいものがあります。しかし全国的に見ると、大半は大規模な阿波踊り会場ではなく、商店街が運営する小~中規模の会場が占めています。その中で「いい会場」と呼べるのは、祭りが根付いていて、芸能的にも資金的にも、循環が回っている状態といえます。「観客数が多ければいい会場」というわけではありません。阿波踊りが何十年も存続するには、健全に「祭り」という経済が回っているかが重要なのです。

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『商店街モデル』とは?

阿波踊りの発展を、特にキャッシュフローを中心に分析すると、下記のような循環が分かりました。

  1. 商店街がお金を出しお祭りを企画
  2. 地元商店街が中心となり阿波踊り連も運営
  3. お祭りに人が集まる
  4. お客様が飲食などで商店街にお金を落とす
  5. 商店街が潤い、地元連も発展

本来、阿波踊りはこのような循環で回っています。この1〜5の生態系がうまく機能している会場が「いい阿波踊り会場」と定義できるわけです。

商店街は、肉屋、八百屋、魚屋、酒屋、和菓子屋、個人経営の居酒屋、など小売りを中心に地元の消費者向けに発展してきました。またそこに付随して建設業、不動産業も商店街の役割を担っています。ですから、今でも祭りの運営や、阿波踊りに熱心に取り組む方々は、上記に挙げたような職種の方が多くいらっしゃいます。

つまり阿波踊りの発展は、商店街の繁栄に強く支えられてきたのです。

商店街の衰退と祭りの減少

しかし現状は、理想的に『商店街モデル』が回っていません。大抵の場合資金に苦しみ、収益をあげるどころか持ち出しをして開催することもあるそうです。感動はお金には変えられない素晴らしいものだからこそ、お金の原因で文化が衰退することはとても寂しく思います。

なぜそのような状況になるのか、理由を考えてみます。

まず大きな理由は、「チェーン店や大型モールの増加」です。

1990年代にコンビニエンスストアが爆発的に普及。さらに2000年、大規模小売店舗法が改正され、全国各地の郊外にショッピングセンターや総合スーパーが多く進出してきます。メーカーが大量に製造した食品は低価格で高品質。商店街にとっては手痛いライバルです。

すると、「いくつものお店を渡り歩きながら買い物をする」というライフスタイルに変化が起こります。コンビニやスーパーですべて済んでしまうことで、町の仕組みが変わるのです。直営店であれば、その土地に愛着が強い地元の人間ではなく、本部から雇われた店長がお店を回します。当然、地域のお祭への関心は低いでしょう。フランチャイズであっても、チェーン店の看板を背負った上で商店街の運営へ積極的に取り組むことは、そう多くありません。

阿波踊り連にも影響

チェーン店の普及で、商店街の力が弱まり、祭りに積極的に関わる店が減少。寄付などで集めるはずの資金が集まらない商店街が増えています。つまり、チェーン店や大型モール進出による商店街の衰退が、祭りの生態系にも影響を及ぼしているのです。

商店街にお金が落ちないという状況でも、祭りに動員があるということは、どこかに経済は流れています。その流れる先は、チェーン店、コンビニ、交通・鉄道会社、自動販売機。また、コインパーキングなども祭り期間中は始終埋まっています。しかし肝心の個人経営の商店にはお金が中々落ちない。地元の阿波踊り連は、商店街が運営し間接的に循環するモデルなので、阿波踊りを愛する連長が自分の資金をはたいて連を運営しないかぎり、厳しい状況に追いやられます。

こうしてたくさんの素敵なお祭りが、存続の危機に直面しているのです。

では…阿波踊りを発展させるためには?

『商店街モデル』が時代と合わなくなっているときに、私たちはどうすればいいのでしょうか。寶船が「法人化」という前代未聞の選択をしたのは、どうすれば後世に阿波踊りの文化を残していけるかを掘り下げ考えたからでもあります。
私はチェーン店や大型モールを否定したいわけではありません。売上を上げているということは、消費者に喜ばれているからで、それは正当なことだと思います。単純に、『商店街モデル』が時代と合わなくなっているのです。だからこそ、10年後、50年後を考え行動する必要があるのです。

では、私なりに具体案3つを挙げてみます。

実際に阿波踊りの文化を後世に伝えるためには下記のようなモデルが考えられます。

『スポンサーモデル』

資金を集めるために、大会のスポンサーを集めるという考え方です。企業は、広告としてや、社名PR、祭り参加によるイメージアップを目的に資金を出すことがあります。その場合、大きな企業の広告が会場に掲載されます。うちわを配ったり、パンフレットにバナー広告を入れたりもします。また、『企業連』と呼ばれる会社の連を作り、お祭に参加することもあります。特に大きな大会になれば、商店街の資金ではなく企業スポンサーに頼るということは必須でしょう。

『スポンサーモデル』は、「BtoB」のモデルです。企業としても祭りの集客という大きなメリットがあり、運営も資金が潤う。お互いにWin-Winのモデルともいえます。しかし、デメリットもあります。見せ方を工夫しなければ、観客にとっては『広告』が増え、景観がバナー広告だらけのようになるということです。また、企業からの大きな資金に頼る場合、その会社が手を引くと祭りも同時につぶれてしまうということにもなります。ですから、芸能の本質で祭りが回るというよりも、「大会の資金を中心に祭りが回っている状況」に陥る可能性もあります。

『イベントモデル』

『イベントモデル』とは、イベントの中で資金を回す考え方です。わかりやすく言えば、ロックフェス、EDMフェスのようなもの。エリア内に入場するにはチケットが必要で、そのチケットセールスを中心にお金が回っていきます。また、エリア内にブースなどを出展することも考えられます。その場合、ブース代として出展料(または売上の数%を手数料にする)をいただき、お店の売り上げは出展者が稼ぐことができます。

この場合、資金の中心はお客様からのチケット料(BtoC)なので、芸能として「お客様に感動を与える」ということからぶれずにすみます。しかし、デメリットとしては、コンテンツが面白くなければそもそもチケットが売れないということです。阿波踊りは通常無料で見るお祭です。桟敷席も売れなくなっているという現状で、さらにチケットを売るためにはコンテンツとして更なる成長が必要ともいえます。

私は、野外で開催するにしろ、劇場で行うにしろ、今後この『イベントモデル』に力を入れる会場が増えていくと思っています。

『アーティストモデル』

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これは私たちが推奨するモデルです。
『アーティストモデル』とは、阿波踊り連として資金を回せるように成長することです。世界で活躍する日本文化のグループはたくさんいらっしゃいます。「鼓童」「TAO」「吉田兄弟」などがその最たる例でしょうか。そのモデルを学び、しっかりと単体のグループとして立ち上がることで、阿波踊りという文化はたくましいものになります。

収益性は、出演料・レッスン料・メディア出演料が中心となります。しかし、アーティストとしてお金を回すことは、並々ならぬ覚悟と行動力とアイディアが必要になってきます。

寶船はなぜ法人化したのか

ここまで読まれた方はご理解いただけることと思いますが、寶船が法人化したのは、『イベントモデル』『アーティストモデル』をファーストペンギン(最初に飛び込むこと)になり、業界を活性化したいと思ったからです。仮に『イベントモデル』で成功できれば、そこにスポンサーを付けることはそう難しくありません。また、『アーティストモデル』で成功すれば、イベントに出演しチケットセールスを上げることもできるでしょう。すべてはリンクしているのです。

阿波踊りの文化を後世に残すには、まず演者が危機感を持ち状況を変革していくことが大切です。
阿波踊り関係者の皆さま、一緒に頑張っていきましょう。

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米澤 渉
1985年、東京都生まれ。一般社団法人アプチーズ・エンタープライズ プロデューサー。寶船プロメンバー「BONVO」リーダー。山形県米沢市おしょうしな観光大使。日本PRのCM『日本の若さが世界を変える』に出演。「my Japan Award 2014」 にて《箭内道彦賞》を受賞。

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